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なぜ、「予防医学」が大切なのか

日本は戦後、世界でもトップクラスの長寿国になりました。しかしその一方で「平均寿命」と「健康寿命」に大きな差が生じつつあります。このことは、要介護の要因になりがちですが、それを防ぐためにも若い頃から病気の予防に努める必要があります。今回は、予防医学の必要性についてご紹介いたします。

平均寿命と健康寿命の差は広がるばかり

戦後、日本の平均寿命の伸び率は世界でも群を抜いています。一方で、高齢者の増加という点でも日本は世界のトップを走っています。これは戦後の徹底した感染症対策や食塩の摂取制限の指導が功を奏した結果で、とくに生活習慣病では脳出血が激減しました。ただ問題なのが、「平均寿命」と「健康寿命」の差が広がっていることです。

2015年10月28日(水)、医療法人社団 こころとからだの元気プラザ主催の公開講座で、寺本民生氏(帝京大学臨床研究センター センター長)が、「生活習慣病の一次予防を考える~超高齢化社会を見据えて」と題して講演しました。「健康寿命」とはWHOが提唱した概念で、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を意味します。2012年の調査によると、日本人の男性の場合、「平均寿命」と「健康寿命」の差は9.02年、女性は12.4年と報告されています。このことから、人生の晩年において自立した生活を送ることができずに介護や介助を必要とする、あるいは寝たきりの老人が非常に多くなることが予測されます。

健康寿命を縮める真の敵、「血管の病気」と「ロコモティブ」

そのため、「平均寿命」と「健康寿命」の差を縮める必要がありますが、この差が広がる主な原因、つまり要介護となる原因は、以下のような割合になっています。「心・血管疾患」が25.1%、「認知症」が21.7%、「高齢による衰弱」が12.6%、「骨折・転倒・関節疾患」が17.7%、「その他」が23.2%。このことから、「健康寿命」を縮める敵は「血管の病気」または「ロコモティブシンドローム」であることが分かります。

脳卒中や心筋梗塞、狭心症などは、一度発症すると後遺症が残ることもあるため、病気になってからでは手遅れです。このような「血管の病気」も「ロコモティブシンドローム」も、長い年月を経て形成される病気ですから、若い頃から予防を心がける必要があります。今健康と思われる人も10年後健康でいるために、早めの「予防医学」が大切ということがいえます。

背後に「肥満」の問題

ところで「予防医学」といっても、生活習慣病の予防は、やはり日々の食事や運動によるケアがベースになります。「血管の病気」も「ロコモティブシンドローム」も、その背景には「肥満」の問題があります。厚生労働省の提唱する「健康日本21」でも生活習慣病予防の一環として肥満撲滅を強調しています。メタボの解消などの肥満対策で、本年度より「日本人の食事摂取基準」が改訂されて新基準となりましたが、この中でも肥満防止のためにBMIに関する新たな指標を細かく示しています。

また、高齢者については「フレイル」と「サルコペニア」に留意した摂取基準を示しています。「フレイル」は「健康な状態」と「要介護状態」の中間状態のことを指します。「サルコペニア」は骨格筋や筋力の低下を指します。「フレイル」と「サルコペニア」を予防すると、要介護者も自立できる可能性が高くなり、社会に参画できるようになると指摘しています。さらに、新基準では「妊婦・授乳婦、乳児・小児」についても個別に摂取栄養素の推奨量などを示しています。

生涯健康でいるためには、胎児期から健康や栄養を考える必要がありますが、「平均寿命」と「健康寿命」の差を縮めるためには、肥満防止に努めるなど日頃のケアを怠らないことが大切です。